2021年4月23日金曜日

お知らせ。

 どーも!店長の小川です。


いくつかお知らせがあります!


5月から、エマスタジオは基本無人営業のスタジオに生まれ変わります!

ネット予約システム”スタジオル”から予約をすると鍵番号が発行されますので、

予約日当日はその番号で入店する形になります。

決済はクレジット先払い、店頭でのPayPayの決済がメインになりますが、

現金派の方も多いので現金決済用の設備もご用意しております。(ただし、お釣りはご用意できません)

詳しい利用方法はまた改めてSNS等から説明になると思います。


ここで一つ私からのお願い!

今までのように毎枠ごとにスタッフがスタジオ内の片付けや機材チェックなどを行うことができなくなります。

”スタジオ内の機材や設備はしっかりと元に戻す!来た時よりも綺麗に!”

ドラムのチューニング、機材の配置、ケーブルやスタンド、イス・・・

自分たちの次に入る人が初心者だったら?初めてエマに来た人だったら?

エマスタジオがこれまで育ててきた、皆で気持ちよく練習できる環境

それを守るためには、利用する皆さんそれぞれのお互いの気遣いが必須になります。

ご協力いただければ幸いです。


というのも、

もう一つのお知らせになりますが、


既にSNSで軽くご報告しております通り、

5/15をもちまして私、店長小川はエマスタジオを退職することになりました。

気づけば9年間、エマスタジオのカウンターの中に座って、沢山の方と出会い、色々なお話をしたり。ご迷惑をおかけすることも多々ありました。

音楽を楽しんだり、良い音楽を追究したりする。音楽により親しむ。

それには楽器が良い状態であることが必要最小限だと考え、機材のコンディションには常に目を配り、良い状態を維持する。

これがエマスタジオで私が第一に考えてきたことでした。

というか、当たり前を当たり前だと知ってほしかっただけなんですが・・・笑

大切なのは、自分が触れる楽器を知ろうとする事。

皆で使う物ですから、まず知って、繋げていってください。

楽器は大切に!共用物は死ぬほど大切に!

これが私の願いです。


市内にはいますし、音楽活動やケーブル製作は続けますので、また連絡頂いたりどこかで見かけたらお声がけ頂ければ幸いです。


まだまだコロナウィルスも落ち着く様子はありませんが、この先もエマスタジオが

皆が安心して音楽を楽しめる場所であり続けられますように!

それを願っております。




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DALLJUB STEP CLUB - UROKO FROM MY EYES

日々の探求、からの発見に歓喜できる喜びを。そんなマインドで生き続けるのが最高だって信じてます。

2021年1月14日木曜日

店長小川の音楽うんちくリターンズ ~ケーブルの使い方 その1~

 あけましておめでとうございます!店長小川です。

まずは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


ということで、今回はエマスタジオの店長小川というよりは別でちょこちょこ進めているSTREAM CABLEの小川としてな感じになります。

ちなみにSTREAM CABLEは現在2/14のバレンタインデーに向けて、チョコレートみたいなケーブルを受注販売受付中です。

詳しくはこちらをチェック!


ケーブルの使い方について!やっていきましょう。


ケーブルの?使い方?何をいまさら!

というあなたにもUROKO FROM MY EYESな内容かもしれないですよ!?



まずですね、STREAM CABLEとしては楽器用ケーブルは

楽器周辺アクセサリや消耗品ではなく

楽器の一部、楽器そのもの

として考えておりまして。


たとえばギタリストにとって自分の楽器とは

まずギター。エフェクターやアンプも楽器ですよね。

サウンドとプレイヤビリティに直接関わるのであれば、ケーブルやピックも楽器ではないでしょうか?

ということです。

ケーブルはサウンドにかなり直接関わる部分なんです。

弦やピックに関しては消耗しますから、消耗品としてアクセサリと括るのであれば・・・

ケーブルは経年で変化(物質的には劣化ですがあえて変化と表現します)しますが、適切に扱っていればそうそう簡単に壊れるものではありません。


そういう部分も含めて、今回はお話したいと思います。



シールド、ケーブル、コード、ライン…人それぞれ呼称がありますが

シールドって?って思ったことがある方も少なくないはず。


ちょっと難しいようで実は難しくないのでここをまずじっくり理解して頂きたいのですが…


初歩的な電気の回路については学校で習っていますので想像するのは難しくないと思うのですが、一旦思い出してみましょう。

豆電球を乾電池で点灯させる最も初歩的な電気回路です。
電源(乾電池)を基点としてとらえると、赤い線が出力、青い線が入力。
豆電球を基点にした場合、赤い線が入力、青い線が出力。

上記の電気回路で、赤い線や青い線のつなぎ目が離れた場合、どうなりますか?

電球は消えてしまいますよね。

このように、電気回路はすべての入出力がひとつなぎの”輪っか”でつながっていないと動作できません。

エレキギターなどの電気楽器の信号を出力する回路、アンプやエフェクターなどの回路、それをつなぐケーブルのその”輪っか”がどうなっているのか。

スイッチやらなんやかんやはとりあえず無視して簡潔に音声信号の回路のつながりを図にしてみました。ちなみに、電源を使っているのは増幅等回路の機能を動作させるためのものであって、音声信号の回路のつながりを解説するには邪魔なのでこの際ぶった切って捨てます。

音声信号の回路のみだとたとえばこんな感じ。
完全につながっているひとつなぎの”輪っか”はどこにもありませんね。

これを”輪っか”にするとスピーカーから音が出るわけですから、赤同士、青同士つないでみましょう。
はい!音でました!
これの、黄色で囲ったところがケーブルなんです。

ここまで大丈夫ですか!?
続きます。

直流/交流というのは覚えていますか?

どっちが直流でどっちが交流でしたっけ?
直流は出力から入力へ一方向に流れる電流。上です。
交流はプラスとマイナスに連続して交互に振れる電流。下です。

例えば乾電池は直流の電源になります。なので、先ほどの電球の図では電流の流れる向きは電池の+から豆電球を通って電池のーへ帰ってくる。ということになっています。

一方、電気楽器の音声信号というのは交流の電流になります。
止まっている弦を弾いてよく見てみると、交互に左右均等に高速で触れているのが分かると思います。
スピーカーも同じです。正面から見て手前と奥に交互に振動しています。
どちらも停止して鳴動が無い状態が0です。

電気信号と音の仕組みがよく似ていることが分かって頂けたと思います。


ここで、
交流は行って帰ってを繰り返してるなら道は一本で良いのでは?

そう思ってしまったあなた!

良いつまづきです!

電気信号はよく水流に例えられます。
流れるプールを思い出してください。あれは電流に置き換えると直流です。
行って、グルーっと回って帰ってきますよね。
輪っかになっていないとを水を捨て続けることになってしまいます。

では交流ではどうでしょう?
こちらも輪っかになっていないと行ったり来たりするまでもなく行ったっきり水が無くなってしまいます。大事故です。

思い出してください。電気回路は輪っかになってないと動作しません。鉄則です。

話が逸れましたが、つまりケーブルの中には2本の電気信号の経路が詰まっていることになります。

ギターなどをつなぐケーブルの先端のプラグを見てみてください。
先端のくびれたあたりに1本の線があって、金属部分(端子)が2つになっていますよね。
先端側がチップ端子といって先述の楽器同士の接続の図で言うと赤色を担当しています。
根元側の棒状(実は筒状)の端子がスリーブ端子。同じく図の中では青色担当です。
それぞれホット/コールドと呼ばれます。極性ってやつですね。

少し前の話に戻りますが、音声信号を運んでいるのはホットの方でしたね?
コールドはどうしているのかといいますと、一応音声信号を運んでます。

その音声信号というのが、”外来ノイズ”です。

ケーブルの中はざっくりこんな構造になっています。

絶縁体はビニールやゴム等でできており、電気は通しません。しかし、電磁ノイズというのは絶縁体を超えてケーブル内へ侵入してしまいます。
そこで、信号線の周りに絶縁体、その上を覆うようにコールド線で包むことで外来ノイズをアースへ捨ててしまおうという構造になりました。
盾のように信号をノイズから守るということで、こういうケーブルを”シールドケーブル”と呼ぶようになったのです。

シールドの種類もいくつかあります。
内部絶縁体に巻き付けるようにしたものがスパイラル(MOGAMIなど)
編み込んで網状に覆っているものはブレイデッド(BELDENやCANAREなど)
この2種類が楽器用のシールドケーブルでは一般的です。
他にも
スパイラルの上から更に逆巻きに2重にしたダブルスパイラル(Gothamなど)
楽器用ではデメリットが多くなりがちなので少ないですが、薄い金属箔を使用したフォイルラップ

主にこの4種になりますね。

さて、シールドケーブルというものがある程度理解して頂けたかと思いますが、
ボリュームがひどいことになりそうなので続きはまた次回!

お楽しみに!



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THE SPELLBOUND - はじまり
2016年に逝去したBOOM BOOM SATELLITESの川島道行。
翌年6月、残された中野雅之はBOOM BOOM SATELLITESとしての活動に幕を下ろしました。
それから約3年半の歳月を経て、THE NOVEMBERSの小林祐介を組んでTHE SPELLBOUNDを結成。
そのファーストシングルが遂にリリースされました。

個人的に川島さんが最後に残したBBSのLAY YOUR HANDS ON MEは彼の逝去後ずっと苦しくて聴けませんでした。川島さんが別れを告げているように感じてしまって・・・
しかしこうして中野さんが新しい一歩を踏み出せたことに川島さんも安心しているだろうと思いながら改めてその曲を聴いてみました。
まだ涙は滲んできますが、川島さんが温かく未来へ進んでいく皆を照らしているような優しい曲に聴こえました。
私はこの”はじまり”の先が楽しみで仕方ないのです。




それでは!

2020年12月9日水曜日

店長小川の音楽うんちくリターンズ ~トレモロアーム~

どーも!店長の小川です!


先日のteamCOLOR×teesの配信ライブ企画”ミュージックエール”ご覧いただけましたでしょうか?

まだの方は以下のリンクからアーカイブが視聴できますので、お手隙に少しずつでも観ていただけたら幸いです。

(12/10訂正 肝心のリンクを忘れておりました。失礼いたしました。)


さてさて、前回からちょっと空いてしまいましたが、今回は

トレモロアーム”についてお話していこうと思います。

大ボリュームです。


まずトレモロアームというのはなんじゃいな?という方の為に軽く説明しますと、

エレキギターのボディ上、ブリッジ(弦が乗っている金属のパーツ)から伸びている棒(トレモロアームといいます)をつかんで音程をウィウィウィウィ~ンと揺らすような演奏を見たことがある方も多いかと思います。

今回はそれについてです。ニッチですねぇ~!笑


まず、ある程度音楽に触れている方なら疑問に思ったことがある方も少なからずいると思いますが、その名称について。

特にギターにおいてトレモロというのは同音反復といって、同じ音を小刻み連続的に演奏することで、要は右手で速くオルタネイトするマンドリン奏法とも呼ばれるようなものですね。

対してトレモロアーム。以前の記事でも登場したクリケット奏法のような特殊な奏法ではトレモロに近い効果は得られますが、基本的には同音反復ではなく音程の上下反復によってビブラートやピッチベンドの効果を生むための機構です。

なので本来は”ビブラートユニット”と呼称するのが正しいことになりますが、トレモロアームとかトレモロという呼称がすでに市民権を得てしまっているんですね。ややこしい!

ではなぜトレモロと呼ばれているのかといいますと、

後ほど詳しく説明しますが、Fender社の”シンクロナイズドトレモロユニット”というタイプのビブラートユニットのその名前からそう呼ばれるようになったようです。

つまり本来はクラクションやインターホン、ウォシュレット等のようないわゆる商標なのでFender社製のもの以外をトレモロと呼んでしまってはいけないんでしょうね。


というわけで、ここからはビブラートユニットと呼びつつ掘り下げていきます。

あまり知られていないエレキギターの歴史に深く関係するとある偉人のお話。


1930年代頃から弦楽器にマイクやピックアップを取り付けて音を増幅する技術が登場していく中で、ギターもエレキ化を始めます。

この頃一般にギターというと、いわゆるアーチトップギターが主流だったようです。

電磁式のピックアップを取り付けたアーチトップギターは”エレクトリックスパニッシュギター”と呼ばれていました。

ちなみに現在でもGibsonの人気シリーズ"ES”はエレクトリックスパニッシュの略ですよ!

さてこの頃ビブラートユニットはというと…

実はもう存在しているんです!

リュート属のギターですが(奏法の回を参照)、アーチトップギターはバイオリン属のようにボディエンドからボディトップに伸びたテールピースに弦を掛け、別にボディトップに設けたブリッジサドルに弦を掛ける構造を持っていたため、演奏中にテールピース部分を操作することで弦の張力を変化させてビブラートの効果を出す事は当たり前に行われていたようです。

1920年代頃から、それを容易に行う狙いでいろいろなビブラートユニットが各ギターメーカーから競って開発されていたというのが現在の機械式ビブラートユニットの始まり。

遅れること10年程、1930年代にギターのエレキ化が進む中で

最初のエレキギターといわれるRo-Pat-InRickenbackerフライングパンに続いて登場したエレクトリックスパニッシュギターに搭載されていたのが…

20年代からビブラートユニットの研究・開発を続け、当時Rickenbacker社のチーフデザイナーとして迎え入れられていたDoc Kauffmanというエンジニアが開発した”Vibrola”というビブラートユニット。

この”Vibrola”が世界で初めて特許取得をした機械式ビブラートユニットといわれており、ビブラートユニットの歴史の始まりでした。

その後ある時期まではRickenbacker社のギターにはKauffmanのビブラートユニットが搭載されるのでした。

とはいえまだ現代のビブラートユニットに比べれば幾分簡素な設計で、加工の精度もたかくはない為、ユニットを操作するとチューニングが崩れてしまう問題が付きまといました。

ちなみにKauffman氏はFender社の創始者Leo氏とは40年代頃から生涯の親友であり、Kauffman氏が90年に亡くなる際、彼の遺志はLeo氏に託されたとも言われています。(残念ながらLeo氏も翌年に亡くなってしまいましたが…)

さらにGibson社の看板モデル”Les Paul”。元々はLes Paulというギタリストのシグネチュアモデルであることは知っている方も多いはず。30年代にKauffman氏と出会ったLes Paul氏は、後に完成させるオリジナルギター”the Log”にKauffman Vibrolaを搭載したり、Gibson社と開発した自身のモデルにも搭載していたのでした。

そしていよいよ50年代に入り、再び歴史が動きます

現代の機械式ビブラートユニットの元祖”Bigsby vibrato tailpiece”の登場です。

Paul Bigsby氏が開発したこのビブラートユニットはKauffman Vibrolaよりは幾分安定しており、すぐにギタリスト達に受け入れられていきました。

the BeatlesのJohn Lennonも、愛用するRickenbackerからKauffman Vibrolaを外し、Bigsbyに乗せ換えて使用していました。

Kauffman Vibrolaと比べればチューニングの狂いも少ないですが、これ以降登場してくる様々なビブラートユニットも多少のチューニングの狂いは相変わらず各社課題として多様な創意工夫で挑んでいます。

このBigsbyの登場以降、様々な工夫を凝らしたビブラートユニットが大量に生まれていくこととなるのです。


ここからはBigsbyを含んだ現在使用される代表的なビブラートユニットを紹介していきます。


・Bigsby vibrato tailpiece

GretschやGibson、Fenderのテレキャスターなんかにもよく搭載されています。

現在実用されているビブラートユニットの中では最も古いとされています。

写真では手前側にあたる棒状のパーツに対して弦が半周程巻き付いた状態で掛けられ、奥の棒状のパーツの下をくぐった先でブリッジサドルに弦が乗る形となっていますね。

アーム(Bigsbyではハンドルと呼ぶそう)を操作すると弦が巻き付いているバーが連動して回転し、弦の張力を変化させるという仕組みなので、ブリッジサドルやナットの摩擦が大きい場合にチューニングの狂いが大きくなります。

弦の交換が少々面倒になることや、ベンド幅があまり大きくないという欠点もあります。

様々なタイプのギターに対応できるようにモデルが多数用意されており、取り付けもボディの加工が必要ないことが多いことから現在でも後付けのビブラートユニットとして高い人気があります。

また、基本的に大型で重量があるためボディバランスが変化しやすく、サウンドもBigsby特有の高域が強調されたサウンドになります。あえてそれを狙って搭載するBigsbyフリークも数多く存在します。


・Fender Synchronized Tremolo

主にストラトキャスター系のモデルに搭載されるタイプ。

伝統的なストラトキャスターでは6本のボルトでボディに取り付けられていますが、2本のアンカーで支持するものや、裏通しではなく弦を挟んで固定するロック式(Floyd Roseなど)など、派生して様々なビブラートユニットが登場しています。

基本的な構造としてはテールピースが存在せずブリッジサドルと一体になっているベースプレートごとアームで稼働させる仕組み。ボディ裏にはユニットが貫通しておりスプリングで張力を持たせてボディの表裏で張力を釣り合わせるような形となっています。

弦の摩擦が起きるポイントが少ない為、比較的チューニングも狂いにくいこともポイント。ロック式に至ってはナット側でも弦を固定する為、チューニングの狂いは限りなく少なくできるでしょう。

不用意に重量が増えにくいウェイトブロックは軽すぎると鳴りが悪いですが…)ことや、ベンド幅が大きく派手なアーミングが可能、モダンでテクニカルなギタープレイにはもはや必須といっても過言ではないタイプのユニット。

欠点としてはボディに対して大きなザグリ(ユニットに合わせてボディを彫り込む加工)が必要な為後付けには費用や時間を必要とすること、調整が不十分だと上手く機能してくれない、多くのモデルでは一本弦が切れるとスプリングとのバランスが崩れて残りの弦のチューニングが狂いやすいなど、ある程度の欠点もあります。

また、基本的にボディからブリッジ全体がほとんど浮いている為、ウッド材のトーンを活かしたサウンドは期待しにくいです。

今回、Floyd Roseのようなロック式はこのSynchronized Tremoloタイプと基本原理は似ているため進化系の一部とさせて頂いております。


・Fender Floating Tremolo

主にFender JazzmasterやJaguarや、他各社のそれに該当するモデルに搭載されるタイプ。

大きなテールピース、長いアームが独特なルックスを演出するこのモデル、欠点が非常に多い事で有名ですが、それを踏まえて余りある独特なビブラートユニットでもあります。

構造としてはアームを操作するとテールピースの弦が掛かっているプレートが連動して弦の張力を変化させるもので伝統的なものと大差が無いように見えますが、長めのアームから梃子の原理を上手く活用して動作する構造の為アーミングにさほど力を必要とせず、滑らかなアーミングが可能であることが大きな特徴といえます。しかもなんとロック機能付き

ブリッジサドルもユニーク。アーミング時の弦の摩擦によってチューニングの狂いが発生するのであれば、ブリッジサドルを稼働させて弦と一緒に動かしてしまおうというもので、ボディに取り付けられたアンカーとブリッジのパーツにわざと遊びを持たせてあるのです。これによってチューニングが安定したかというと…改善はあまり見られませんでした。

特有のポイントとしてはテールピースとブリッジサドル間の距離が長くテンションも低めな為、この間の弦が共鳴して独特な倍音を含んだサウンドが魅力ではあります。しかしカッティング等で音を止めた場合にこの部分の音が残ってしまうため、ミュートをするユーザーも多いですがこの場合独特なトーンも失われます。

さらに持病とまで言われる最大の欠点が。

Jazzmasterの名の通り、本来ジャズで使用する想定であり現在のロックやポップスで使用するような細い弦で使用する想定は無かった(そもそも細い弦は一般的ではなかった)のか、細い弦を張るとテンションが足りずピッキングによって弦がサドルから落ちるいわゆる”弦落ち”しやすいのです。Jaguarに至ってはさらにスケールが短いですから…

しかし様々なパーツによって対処が可能です。安心してください。

Buzz Stop Barというテンションバーや、Mastery Bridgeが一般的な対処法になりますね。

Tune O Maticタイプのブリッジにテールピースの距離を縮めて弦の角度を稼ぐことで弦落ちしにくくしたモデルも出ています。

さらにさらにもう一点不治の病があります。

アームの脱落です。

他のユニットはねじ式であったりロックができるものがほとんどですが、このタイプは基本的に差し込んでちょっとしたバネで引っかかるのみ

少し使えばゆるゆるになり、演奏中に行方不明になることも。

それでも愛されるFloating Tremolo、その理由はMy Bloody Valentineというバンドを聴けばわかるかも・・・?


・Fender Dynamic Tremolo

Fender Mustangタイプのギターに搭載されるタイプです。というか、Mustang以外に付いてるの見たことないかも…

構造としてはSynchronized TremoloとFloating Tremoloの合いの子みたいな感じで、Floating Tremoloの発展形と言われています。Floating Tremoloのテールピースとブリッジサドルが一体化し、アームのスプリングの機構がSynchronized Tremilo的、といったところです。

その名の通りダイナミックなアーミングが可能(ロック式のような豪快な領域には工夫は必要ですが)であり、Floating Tremolo譲りの少ない力でアーミングができるという優れもの。クリケットもお手の物!チューニングの狂いも比較的少ないタイプです。

でもあんまり使われない悲しきモンスター…


・Gibson Vibrola

Gibsonってあんまりビブラートユニットのイメージがない(ついててもBigsby)かもしれませんが、50年代にアーチトップギターのテールピースを延長したようなVibra Restというオプションを作ってみたんですね。ギター型のもあってかなりかわいい感じ。

その後、板バネを使ったビブラートユニットのVibrolaをLes Paulの発展形であるSGやフライングVなどに搭載します。

この板バネの副産物としてBigsbyとはまた趣の違う煌びやかなサウンドと豊かなサスティンも付与されます。

板バネを使ったビブラートユニットは珍しく、見た目も非常に高級感がありルックスの為に取り付けるユーザーもいるとか。

設計は非常にローテクな為ベンド幅も狭くチューニングは狂いやすいと言われていますが、Vibrolaを搭載したSGを愛用するexゆらゆら帝国の坂本慎太郎氏はチューニングが狂わないとインタビューで話したことがあり、多くのギタリストが震撼したとか…


・その他代表的なビブラートユニット(興味があったら調べてみてね!)

Mosrite Vibramute、Stetsbar、Kahler Tremolo System、Ibanez、Washburn Wonderbar、Steinberger TransTrem、Ibanez Edge、ChordBender など…




さてさて、ものすごいボリュームになってしまいましたがいかがでしたでしょう?

ギターを買って、同封されていたアームを付けたことが無いという方も少なくないと思います。

試しにちょっとつけてみたらなにか新しい世界が見えちゃったりするかもしれませんよ???

多様なビブラートユニットがありますが、それぞれ個性があってできること、できないことがあったり得意不得意があったりします。

自分の音楽にあったビブラートユニットを見つけてみるのもギターをより楽しむ方法の一つかもしれませんね。


ちなみに、少ないですがベース用のビブラートユニットもあります

ベーシストの皆さん!挑戦者求む!!!!



次回は”ケーブルの使い方”についてお話します。

お楽しみに!


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空洞です ‐ ゆらゆら帝国

サイケデリックなガレージロック、ブルース、鮮烈なファズギターと奇妙な風貌で人気を博した日本が誇るサイケデリックロックバンド。

人気の絶頂のさなか2010年、突如解散が発表されました。

2007年に発表されたこの”空洞です”以降、新曲のリリースなど新たな動きはなく、2009年に結成20周年を迎えた後の解散。その理由が

「完全に出来上がってしまった」

でした。

それまでの強烈なファズギターやサイケデリックなサウンドアレンジなどを一切廃したこのあまりに空洞な曲によってバンドが完成してしまった。ということらしい。

最後まで不可解で、気になるバンドでした。




それでは!

2020年11月14日土曜日

店長小川の音楽うんちくリターンズ ~ギターのコードフォーム~

 どーも!店長の小川です!31歳です!


食欲の秋のせいで毎年この時期は体重が増えてしまいます。

いろいろ美味しいのが悪い!!!

あーでも今年のサンマは細いですね。高いし。個人的にはあれくらいのほうがサラッと食べられて好みですが…


まあ余談はこの辺にしておいて…

今回は”ギターのコードフォーム”についてお話ししようかなと。

とはいっても小難しい話ではなく、特にビギナー~ちょっと弾けるくらいの方練習を楽しめるきっかけになれば良いかなという感じです。


「ギターはFコードで挫折する」

なんてのをよく聞きますね。後でお話ししますが、Fコードはかなり簡単で且つオープンコード以外の多くのコードの基本となるフォームです。なので、本当にFコードで挫折したのなら厳しい意見かもしれませんがギター以外も長続きしたことが無い方なんじゃないかなと。

「実はFよりBのほうが難しい」

と、ギターを弾いている多くの方が口をそろえて言います。実際これはマジです。大マジ。

というのも、どちらも1本の人差し指で5,6本の弦を押さえるバレー(セーハとも言います)をした状態で他の指を使って押さえるコードフォームの為、人差し指以外の指の自由度が下がりやすいんですね。

Fコードは中指~小指の3本で1つずつ押さえるフォームなので、バレーがしっかりできていればクリアしやすいのに対し、Bコードはフレット1つあけて3つ並んだ弦を押さえる為、多くの方の場合中指が届きにくい、指が3本収まりにくい等の問題が出てきます。おまけに6弦のミュートをバレーしている人差し指の先で行います。

以下がそれぞれのコードフォーム。

 で、Bコードを皆どう弾いてるかというと、実際は3本の並んだ部分を薬指1本でベタっと押さえる、又は薬指と小指の2本で押さえるという方法で押さえるという方法が多いですね。私も薬指一本でベタっと押さえることが多いです。


なぜいきなりFとBの話をしているかと言いますとですね…

ギターを始めるときほとんどの方がCDEFGABのメジャーコードを覚えて、マイナーコードを覚えて…という風にやっていくと思います。

CDEFGABのメジャーコードのみで弾ける曲というのはほとんどありませんので、当然マイナーコードも弾けないと簡単な曲と言われる曲もできないわけでして…

例えばマイナーコードになるとCmとGmもバレーコードになりますし、#や♭が付けばほとんどのコードはオープンコード(バレーをせず開放弦を交えたコード)では弾けません。

そしてそのコードフォームの基本となるのがFとBのフォームなんです。

いくつか例を挙げますと、


 早速頭が痛くなりそうですが…

逆に言えばFとBが弾けたら一気に道が開けるんですよ!


さて、相変わらずすでにボリュームがありますが基本のお話はここまでにして本題に入りますね。

コードってたくさんあって覚えられない!って思う方が多いと思うんですけど、見方を変えて少し頭を使うとすんごい楽になるんですよ。

まず、ルート(コードの一番低い構成音)ってほとんど5弦と6弦なんですね。(DとD#がルートになると4弦ルートが多くなります)

加えて、よくよく見ると同じコードの6弦ルートのフォームと5弦ルートのフォームって下から4つめの音が5弦ルートになると半音上がるだけなんですよね。

これは開放弦と隣り合う低い音の弦の5フレットが同じ音で、3弦のみ4フレットという関係からみればわかって頂けるかなと思います。

ということは、6弦ルートの1つのルートでいろいろなコードを覚えてしまえば、5弦ルートでは同じコードフォームのまま移動して2弦を1フレット上げたら完成!なわけですね。

というわけでちょっとみてみましょうか。


ね!?
で、各コードの覚え方についても、メジャーコードと比較して何がどうなったかをしっかり見てみてください。このコードはここがこうなるやつ!って覚えておけば楽ですよね。

ここまでわかると簡単な曲はコードフォームの図などを見ずにコード進行だけで簡単な曲がサクサク弾けるようになります。
友達に「なんか弾いて―!」といわれても、対応しやすいです。

ですが!最近人気の曲っていわゆる”おしゃれコード”とか言われるような複雑なコードを使う曲が多いんですよね…。
複雑なコードは、コードフォームも複雑になりますが
バレーコードを使わないコードも多いです。バレーコードが苦手な方はこのステップに一気に行っちゃうのもありかもしれません。


より音楽的にコードを見ていく考え方ですが、まずギターでドレミファソラシドを弾けないと難しいかもしれません。

というのも、コードのアルファベットの後につくm7とかaugとかsus4とかadd9っていうのは、実は理解すると分かりやすい基本のコードに対してここをこうして!とか、これ足して!っていう指示なんです。
例えばM7(メジャーセブンス。△7とかmaj7と書かれることも多いです)
これはルートに対して長7度の音を足してね!ということなので、
Cドミソですよね?じゃあ、CM7というのは
ドレミファソラ 長7度なので、ドミソシになるわけですね。
じゃあ、Cのコードにを足しましょう!

あれ?っておもいました?

ここがミソです。6本の弦の中で、いかに楽にそのコードを作り上げるか。というか、そうしないと押さえられなくなってしまったりしますからね!笑

3~5弦でドミソが完成していますから、オクターブ上のドになっている2弦を半音下げてCM7の完成!

と、コードがどういう意味かを理解してコードを組み立ててみるんですね。

そうすると、例えばバレーコードが苦手でも、バレーせずに”省略できる音”を省略して苦手なコードをサボったりもできちゃうわけです。省略できる音は、オクターブで複数ある音どれを省略するかでまた響きが変わるのもギターの面白いところ。

小難しいと思っていたコードも意味が分かれば簡単!

add99度の音を付け足す。m7-5ならマイナーに短7度と減5度。みたいな。

あとはdimのようなコード変なコードもありますが、それは頑張って覚えてください!笑

それができれば、ギターの指盤上のドレミさえわかっているだけでパパっとコードフォームが組み立てられるわけです。

曲を作ったりなんかする場合にも役に立ちますよ!


いろいろなコードを覚えると、「これとこれは構成音がよく似てる」というコードがたくさん出てきます。

そういうコードを連続させてクリシェにしてみたり、コードを代用してちょっとひねってみたりなんかもできて楽しくなりますし、曲を聴いていて「ここでこのコードか!」みたいな楽しみも増えたりしてより音楽を楽しめちゃったりしちゃうかもしれません。



さて、そんなわけで!いかがでしたでしょうか。

Fコードがうまく弾けない方は、バレーせずにFコードを弾く工夫をしてみてもいいかも?ですよ。ヒントは親指



次回は”トレモロアーム”についてお話しようかなと思います。案外面白い世界ですよ…!



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Dananananaykroyd - Muscle Memory

ダナナナネイクロイドと読みます。ナが多い!明るくて楽しい気分になるコードとはちゃめちゃな映像がなんとも楽しい気持ちにさせてくれます。残念ながらこのMVが出た年に活動を終了してしまいました。彼らは今何をしているんでしょうか。知っている方いたら教えてください!




それでは!

2020年11月6日金曜日

店長小川の音楽うんちくリターンズ ~音楽とHz(ヘルツ)~

 どーも、店長の小川です。


キャンプにハマってしまい、もともと楽器で圧迫されていた部屋がキャンプギアでさらに狭くなっていく今日この頃。不要なものを整理しないとですね。今は愛着が無くても、思い出のあるものを捨てるのが苦手です。だからだよってやつですね。精進します。



余談はここまでにして、前回の奏法のお話、楽しんでいただけましたでしょうか?

今回は音楽とかな~り密接に関係する”Hz(ヘルツ)”についてお話していきますよ~。


まず、ヘルツとはドイツの物理学者ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツの名にちなんだ周波数及び振動数の単位です。

1Hz=1周波・振動

で表され、1930年に国際電気標準会議で制定、1960年に国際度量衡総会で採用されました。

電磁波や電波、最近ではPCのCPUクロック周波数でも見かけますね。

ちなみにそれ以前の周波及び振動数をサイクル毎秒(c/sまたはcps)としていました。


さて、音楽においてHzが何を表すのかといいますと

ズバリ”音”です。

音というのは空気の振動、楽器においても弦や膜、スピーカーの振動によって発音していますね。

分からないという方は水の波を想像してください。目に見えませんが、空気中の周期的な波が音として私たちの耳で聞いているものの正体です。

エレキギターなどでも弦の振動を電気信号(±に振れる交流)に変換して、スピーカーでまた物理的な振動に変換しています。そう考えるとすごいですよね。

つまり、電気式楽器のケーブルや機械の中の電気信号の状態の音においても、このHzは同じように考えることができるわけです。


一般的に人間の可聴域とされているのは20Hz~20kHz(1秒間に20回から20000回の空気の振動)で、個人差はありますがこれがいわゆる”音”として聴くことができる周波数です。

この中で100Hz以下を低周波と呼び、可聴域外の20Hz以下を超低周波20kHz以上を超音波と呼びます。



さてさて!ここからが本題です少し難しくなりますよ・・・?ついてきてくださいね!


早速少し脱線しますが、

音楽にはファという音階がありますよね。

誰が決めたか、基準になる音というのは様々でございまして。

ファCDEFGABC

とそれぞれこんな感じに対応していますよ。


88鍵ピアノがA(ラ)で始まっているのをご存じでしょうか?

実は”国際標準ピッチ”というのが国際規格として定められておりまして、

88鍵ピアノで言うところの4オクターブ目のA(ラ)を440Hzとしているんです。

これは、1939年ロンドンで行われた万国規格統一協会による国際会議”国際標準ピッチ”として決められ、後に1955年に国際標準化機構(ISO)によってISO16として定められたもの。

ではなぜA=440Hzと決める必要があったのか。


”国際標準ピッチ”が定められる以前から音楽というものはもちろん存在しております。

複数台の楽器で演奏する際に基準とするピッチが無いと、音が綺麗に混ざり合わず曲の演奏ができませんよね?

ということで、地域や時代、演奏隊規模で様々なピッチの基準が存在していたのです。

その基準は本当に様々で、A=380HzからA=500Hzくらいだったと言われています。現在の標準ピッチで言うと、F#4(ファ#4)とG4(ソ4)の間くらいからB4(シ4)とC5(ド5)ということになります。もうめっちゃフリーダム。

でもでも待ってください。

楽器ごとに出せる音の限界がありますよね?

管楽器は構造的にも演奏技術的にも限界はありますし、弦や膜もあまりに低いと上手く振動しませんし、張りすぎれば切れたり破れたりします。

時代によって楽器の大きさも少しづつ違っていたようですが、楽器それぞれの調律の限界ももちろん構造上存在します。

しかし一方で、”基準とするピッチで音楽のニュアンスが変化する”ということも事実として認識されていたのです。

「この曲はこのピッチで演奏してほしい」という前提で作曲されている曲も数多く残されてきました。

「一番細い弦が切れるギリギリまでピッチを上げる」事が指示されている曲まであるんです。

現代でもギターを半音下げで演奏するミュージシャンが多くいますが、この話に置き換えて言えばA=415.305という基準ピッチにしているとも考えられるんです。(なぜこんな細かい周波数なのかは後ほど説明しますよ)

基本的にはピッチの基準を下げると落ち着いた雰囲気に、逆に上げると華やかな雰囲気になっていきます。

この辺の細かい話は終わらなくなってしまうので、気になる方は「国際標準ピッチ」とかで調べてみてください。

ざっくりまとめると、

現代では世界中が容易に移動し、関わりを持つようになりましたから、音楽家同士の交流がしやすいように(あと楽器に無駄な負荷がかからないように)と決めてくれたのが”国際標準ピッチ”というわけです。


まだ続きますよ笑


さてと、基準ピッチが決まりましたが、A=440に対してABCDEFGABC…と区切らないといけませんよね?

これを”音律”と呼ぶんですが、これにはいくつか種類があるんです…

まず前提として、オクターブの関係というのは周波数比2:1で表される音になります。これは絶対です。

分かりやすく言うと、A4=440に対してA3=220、A5=880ということ。

ギターの指板を見ると分かりやすいですが、12フレット(1オクターブ上)が、ちょうどナットからブリッジサドルの間にあるはずです。

A A# B C C# D D# E F F# G G#

と、「12個の音階があるんだから12等分しちゃえばいいんじゃないの?」

と思うじゃないですか。

それももちろん正解です。でもそれだけじゃないんです。

12音階を12等分した音律を”12平均律”と呼びますが、不思議なことに、この12平均律では「純正音が得られない」のです。

純正音とは、2つの音を鳴らしたときに”うなり”を発生しない音のことで、これは周波数が整数比になっていることを示します。

数学が得意な方はお気づきかもしれませんが、単純に12音階を12等分しようとすると、オクターブとユニゾン(同じ音高)以外の音が整数比で示すことができないんですね。

現代のポピュラー音楽においてはそこまで気にされることはないですが、本来音楽においてこの純正でないうなりを伴った音というのは美しくないものとされてきました。

なので、いろいろな人が工夫をして「どうしたら美しい音律になるか」を一生懸命考えました。

その結果、音律が複数存在しているんですね。

ピタゴラス音律純正音律中全音律が代表的なものになるでしょうか。

それぞれ特徴はありますが、総じて特定の和音に対し純正音を得られる代わりに、極端に響きが悪くなる音階を持っていたり、それによって転調や移調が困難であること。ピタゴラス音律にいたっては12平均律では異名同音となるはずのA♭とG#が違う音階になってしまうなど、現代のように様々な人が様々な音楽を演奏する時代には致命的な短所が多くあるのです。

それぞれの原理や長所短所が気になる方は調べてみてくださいね!(数学が苦手な方はさっぱりかもしれませんが…)

古来の日本ではピタゴラス音律を使用していたり、世界には5平均律の音楽に親しむ地域もあったり。由緒ある民族音楽では独自の音律を持つ場合も多いです。


そんなわけでもうお分かりの通り、現代において一般的に親しまれる音楽では”A=440の12平均律”を用いることが定型となったのです。


ちなみに、ギター等フレットを設けた楽器のフレットがまっすぐなのは平均律だから。

純正律を用いる場合はフレットはぐにゃぐにゃ曲がったものになってしまいます。


ふぅ…終わりが無いので今回はそろそろ、これくらいにしておきましょうか…笑

皆さんお手持ちのチューナーも、A=440で設定されていますが、大半のチューナーには基準ピッチの調整機能が付いています

試しにいつも演奏している曲を違う基準ピッチで試してみても面白いかもしれないですね。

私は自分の楽器は基本的にA=442Hzでチューニングすることがおおいです。



そんなわけで!深い深~い関係があるHzと音楽についてちょこっとだけお話してみました。

これについて知りたい!みたいな事がありましたら、教えてください。テーマを考えるのもなかなか一人では続かないかもしれないので…

次回は、分かると楽しい”ギターのコードフォーム”を予定していますよ!作曲してみたいな~って方は要チェックかも…!



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Jacob Collier - Tiny Desk (Home) Concert

常に全てが調和していて心地よさが途切れることが無い感じ、分かりますかね…?ピッチや音律、微分音やグルーヴに至るまで、独自の理論を持ちながら様々な楽器を操るマルチプレイヤー。そして歌までうまい。感覚的に捉えているのではなく、ジャズ理論を軸に近代音楽的解釈と現代音楽的解釈どちらも肯定するようなJacob独自の音楽への解釈は、もしかしたらこれからのポピュラーミュージックを変える引き金になっていくんじゃないかなと、秘かに思っています。



それでは~!!!

2020年10月30日金曜日

店長小川の音楽うんちくリターンズ ~いろいろな奏法~

 どーも!店長の小川です。


今回は前回予告した奏法についていろいろお話していきますね。


まず、世界には多種多様の楽器があり、その発音方法も様々です。

長くなりますが、奏法について考える際に深く関係してくるので、まずはその分類を整理していきましょう。

  • 管楽器(楽器分類学上では気鳴楽器)

金管楽器…トランペットやトロンボーンなど、唇の振動を用いて発音する楽器。誤解しやすいですが、金属によって作られているかどうかは関係がなく、例えばデジュリドゥもこの金管楽器だったりする。

木管楽器…こちらも木で作られているかどうかに関わらず、上記の金管楽器に当てはまらない管楽器を指します。サックス、クラリネット、オーボエ等のようにリードを用いるものもあれば、リコーダーやフルートのようにリードを用いないものもありますね。

  • 弦楽器(楽器分類学上では弦鳴楽器)

撥弦楽器…指や爪、またはそれに代わるもので弦をはじいて発音する楽器。ギターなどリュート属の楽器や、三味線、琴なんかもこれ。

擦弦楽器…弓などを用いて弦をこすって発音する楽器。ヴァイオリン属の楽器や、珍しいものだとハーディガーディという回転するドラムで弦を擦るものもあります。

打弦楽器…ハンマーや棒を使って弦を打って鳴らす楽器。ピンと来ないかもしれませんが、ピアノは打弦楽器に当てはまります。ほかにもダルシマー、ビリンバウなどがこれに当てはまります。

  • 打楽器(楽器分類学上では体鳴楽器または膜鳴楽器)※慣用的分類では下位分類がないので楽器分類学上の分類を用います。

体鳴楽器…金属や木、骨などでできた楽器そのものを叩いたり、振ったりする事で発音する楽器。拍子木やカホン、シンバル、トライアングル。マラカスやアサラト、ビブラスラップ。木琴などのように明確に音階を持つものも含まれます。

膜鳴楽器…動物の皮や樹脂製の膜を張って主にその膜を叩くことで発音する楽器。ドラム類や、タンバリン属のようなフレームドラム類、ボンゴやジャンベなどがこれに当てはまります。

と、旧来の慣用的分類楽器分類学を並行して列記しました。慣用的分類ではあと鍵盤楽器、電気楽器、電子楽器、声が、楽器分類学では電鳴楽器がありますが、電子楽器(シンセサイザーとか完全に電気信号のみを用いた楽器)を除いてすべて発音の根本的な原理で言うと先述のいずれかに当てはまりますので、気になる方は自主的に調べてください。

エレキギター、エレキベース、電子ピアノなどアンプを用いてスピーカーから発音する楽器は電気楽器、電鳴楽器の分類になりますが今回はそれは無視して各楽器の根本的な演奏方法を軸に見ていきますのであしからず。


すでに内容がだいぶコッテリしてきましたが、大丈夫ですか?笑

続けます。

先述の3つの大きな分類で括ると、特に弦楽器と打楽器で顕著なんですが”主な演奏方法以外の方法で演奏が可能である”ことが多く、例えばヴァイオリン属の楽器ではピチカート奏法といって指で弦を弾く奏法も一般的に行われます。

ということは、”構造上無理がなければ本来の演奏方法とは違っても叩いたり擦ったり振ったりしてもいい”わけですね。

例えばベースのスラップ奏法は打弦楽器的ですし、アコースティックギターのボディヒットは体鳴楽器的であり、本来の楽器分類上の演奏とは異なる演奏方法なわけです。

ドラムセットで言っても、スネアドラムをひっくり返してスナッピーを擦ってジャリジャリしてみたり、スナッピーを緩めてスネアドラムを振ればジャラッジャラッと。太鼓類のヘッドやシンバルを摩擦の強いゴムマレットなどで擦ってブウィーンとしてみたり。スタンドを叩いてキンキンと鳴らすのもありですね(the OffspringのCome out and playのイントロがこれ)

ギターをヴァイオリンやチェロの弓で擦って演奏するボウイング奏法も実は歴史は古く、1966年頃にthe CreationのEddie PhillipsLed ZeppelinのJimmy Pageが用いて以降、特にSigur RósのJónsi Birgissonが積極的に用いるようになってからは広く用いられる奏法にもなりました。Dragon AshのSummer TribeのMVでも使っていますね。

グランドピアノの共鳴室に手を入れて指で直接弦を弾く、ハープを弓で弾くなど、特に弦楽器においてはその構造上弦に対してはじく、叩く、擦るというのは基本的に流用しやすいのでしょうね。とりわけ弓による摩擦は擦る対象がある程度振動しやすいもの、形状であればならせることが多く、シンバルも鳴らせます。


さて、世界にはクリエイティブなミュージシャンは沢山いまして、主にエレキギター/ベースやドラムにおいてここまでお話しした”音楽的な範疇での特殊奏法とは別な特殊奏法”を見ていこうと思います。

  • Tom Morello
    ワウペダルやワーミーペダル、ディレイなどのエフェクターを駆使して独創的なサウンドを多数生み出した”エレキギター界きっての特殊奏法の宝庫”。トグルスイッチを操作しながら弦を擦るスクラッチ奏法は有名ですが、六角レンチを使ったりギターからシールドを引き抜いて手に押し当てたりなど、ちょっとクレイジーな奏法まで。動画でそのいくつかが惜しみなく披露されておりますので、ぜひご覧いただきたい。安易に真似してはいけないワイルドな奏法がありますので、試す際は自己責任の上、充分にお気を付けください。

  • Herman Li

Dragon Forceのハーマン・リも独創的な奏法で評価の高いギタリストです。日本のクラシックゲームの大ファンである彼はパックマンのゲームで流れる音をギターで再現してしまったり、象のパオーンという鳴き声エンジン音もお手の物。この動画内では見られませんが、Night RangerのBrad Gillisが多用することでも知られるクリケット奏法(トレモロアームをはじくようにしてコオロギの鳴き声のような音を出す)を使用することも多いですね。あとギターを太腿で蹴り上げるようにして轟音を出したりもします。こちらも安易に真似してはいけないワイルドな奏法がありますので、試す際は自己責任の上、充分にお気を付けください。


  • Steve Moore

ここまで何だかんだ言っておいて、これを特殊奏法というべきかとても悩みましたが一応紹介しますね。見た目が派手になるだけでサウンドに一切影響しない謎すぎる奏法を数多く生み出しているThe Mad Drummer。わけが分かりませんが、視覚的に人を引き付ける効果を狙うのも演奏技術の一つとして考えるべきかもしれないですね。こちらは特に危険を伴うことはなさそうですが、そもそもどうなっているか分かりません。むしろやり方知ってたら教えてください。

 ・Paul Gilbert & Billy Sheehan

あまりにも有名な電動ドリル奏法も特殊奏法の一つと言えるでしょう。Mr.BIGがこの奏法で使用するドリルは愛知県安城市が世界に誇るマキタの電動ドリル!いつの時代も早ければ早いほどカッコいいんです。


と、キリがないのでここまでにしておきましょうかね!


ダラダラと書き綴りましたが、結局何が言いたいかと言いますと、

音楽は自由な発想で無限に面白くなるよ!

ということです。練習に行き詰まったり、暇な時間にちょっと考え方を変えて楽器に触れてみたら何か生まれるかもしれませんよ???


これからも音楽が誰にとっても楽しいものであり続けられますように!!


次回は”Hz(ヘルツ)”についてお話しようと思います。

それでは!


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Jon Gomm - Coccoon

はじく、叩く、擦る、ひっかく、回す、そして歌う。もはや曲芸のような作業量をたった一人でこなし、美しいアンサンブルを奏でる規格外のSSW。新型コロナウィルスが蔓延する以前はLike a rolling stoneなライフスタイルで各地を飛び回り制作をしながらパフォーマンスをしていましたが、今この時代が彼にとってどう感じられているのか心配していました。少々の沈黙を破り、最近新しいアルバムをリリースしました。情熱的な演奏から紡ぎだされる膨大なアンサンブルは繊細で幻想的。The Faintest Idea、ぜひご一聴頂きたいアルバムです。

2020年10月25日日曜日

店長小川の音楽うんちくリターンズ ~イコライザー~

 どーも!店長の小川です。


秋だなーキャンプ行きたいなー

近々行く予定はあるんですけどね。


さてさて、今回はについて考えてみましょう!


アンプ類やミキサー、エフェクターやアクティブベースにもついてますね。

EQとか略されますが、皆さんどう使ってますか?


まずイコライザーとはそもそも何?ということから探ってみましょう。

equal・iz・er…均一化するもの、等しくするもの

つまりイコール(equal)にする為のもので、本来は楽器を接続して増幅及び出力を行う過程でどうしても起こってしまう環境に依存した周波特性を補正したり、アルバムなど複数の曲を1つにまとめる際に曲ごとの際を均一化する。というのが元来の目的のよう。

現在は特定の音域を積極的に増減して音作りにも利用されることが多いですね

室内の音響特性の変化を狙った構造体もイコライザーとしてとらえる考え方もあります。エマスタジオの天井や壁にも見られるアレです。

今回はとりわけアンプ類のイコライザーについて考えていきたいと思います。


まず、イコライザーというと多くの方はBASS/MID/TREBLEみたいな3バンドイコライザー(2バンド以上、音響用ラックだと10バンドとかもっと多いものもありますね)

ベースアンプにはグラフィックイコライザーも多くみられます。

一部のアンプや昔のアンプにはパラメトリックイコライザー(パライコ)なんてのもあります。

実は本来、大きく分けると1つ目に挙げた3バンドイコライザーみたいなものも特定の複数周波帯をブースト/カットするという用途から、グラフィックイコライザーの分類となります。


一旦ここでイコライザーの分類についてお話します。

2通り2点ずつの分類があります。

  • パラメトリックとグラフィック

パラメトリック…選択した帯域のブースト/カットを行う。選択した帯域を中心とした帯域の幅(Q)も操作し、繊細な調整が可能

グラフィック…Qと周波帯があらかじめ固定されており、その帯域をブースト/カットする。複数の帯域(オクターブ単位で設定されていることが多い)が用意されており、多くはフェーダー(スライド式)を並べてある為、複数の帯域をどう操作しているかを視覚的に捉えやすい

  • シェルビングとピークディップ

シェルビング…ある帯域以上または以下をまとめて操作する。イコライザーの最低域と再高域はこれになっていることが多い。

ピークディップ…選択した帯域を中心に操作する中間にあたる帯域は基本的にこの方式をとる。


と、こんな感じです。ちょっと難しいですかね。DAWをされる方はよくわかって頂けたかなと思いますが…

まあこの辺は予備知識として持っておくと便利ですよという感じで。

今回特にお話ししたいのはですね。

センタークリック、ブースト/カット、フラット

この辺の言葉に関係する部分なのですが…


いろいろな場所でいろいろなアンプやミキサーに触れると思います。

さてここで問題です。

「イコライザーが全て0に設定されているとき、音は出ますか?出ませんか?」



正解は、「どちらもある」です。

アンプの機種、メーカーによって実はここが様々で、同じように操作しても同じ効果を得られないんです。(選択されている周波帯やQが違うというのもありますが)


さらに問題です。

「イコライザーの0って左いっぱいに回したとき?真ん中?」



これも正解は「どちらもある」です。

考え方の問題で、真ん中を0としてプラスマイナスとしている場合と、0~10で5を真ん中とする場合。

前者は”センタークリック”といって、0の位置でツマミがコツっとクリックする仕組みになっていることがほとんどです。


で、音を作るにあたって、イコライジング(均一化)するにはまず”フラット”、つまりすべての帯域において0の状態を作って、必要な帯域をブースト/カットする必要があります。

その上で、機器や空間の特性に合わせたイコライジングそして、積極的な音作りを行うわけです。


話を戻します。

”フラット”の状態についてどう捉えるか?について。

ツマミが0または‐(マイナス)いっぱいになっている時に音が出る出ないという違いがあるという点。これはイコライザーの電気的方式の違いであって、それぞれ特性は違えど設計上の目的は同じです。

ということは、「とりあえず真ん中にしとけ!!」フラットだと私は捉えています。

マイナスいっぱいにしたときに音が出ないタイプはいくつか選択した帯域を各コントロールツマミへ分けて増幅回路で増幅させている(帯域別のボリュームになっている)わけでして、もう片方は全体がすでにフラットな状態に対して操作点をいくつか設けているということ。

前者の場合、増幅回路というのは一定値以上に達すると歪む(オーバードライブ)というものですので、積極的な音作りの為以外では基本的には中心からマイナスしてイコライジングするのが好ましいかと思います。(JC-120は音が固くて耳に痛いと敬遠される方が多いのはそのせいかも)

後者においては、アンプやスピーカー、接続する楽器の特性上強く出てしまう部分をカット、弱い部分をブーストする形で演奏環境におけるフラットを比較的再現しやすいものになるかと。


同じ機種でもその機器の個体差、コンディション、環境でもちろん音色は変化しますので、

「このアンプならこのイコライジング」とやってみても、同じ音になることは基本的に無いと考えたほうが良いです。が、この場合そのいつもの設定をフラットと捉えてもう一歩突き詰めたイコライジングをすることで毎回ほとんど同じ音で演奏することができる可能性はグッと高まります。


縦フェーダーのグライコ以外では周波帯の表記は基本的に書かれていないので、何Hzまではわからなくても音を出しながらツマミをクイックイッと動かすと、そのツマミがどのあたりの帯域を選択しているのかが掴みやすいので、特に初めましての機材で試してみると作りこみやすくなります。

ちなみに、ギターやベース本体についているTONEツマミは回路的にはローパスフィルター(ロ―:低域 を パス:通す するフィルター)ですので、高域側から範囲を中域~低域へ広げながらカットするシェルビングのコントロールだと思ってください。(厳密には少し違いますが…)


そしてバンドの場合、特に中高域ではお互いの楽器の音でマスキング(別の楽器から強く出ている帯域にかき消されて同じ帯域の音が薄れたように感じる)されますので、一人で音作りするときは「ちょっとやりすぎかな?」くらいが実はちょうどよかったりします。低域はアンサンブルで混ざりにくい音域なので、こちらは欲張らずに気持ち控えめくらいがおすすめです。


ギタリストやベーシストには永遠の課題”イコライザー”。

少しの理解でも、それを材料に考えながら音作りをすることで断然音作りが楽しくなりますよ!



次回は色々な奏法についてお話してみようかと考えてます。


それでは!


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Hey Mercedes - Slightest Idea


イコライジングの神様。フロントマンのBobが在籍するバンドは、どこでライブしてもCDと同じ音が出ます。異次元…!