どーも、店長の小川です。
キャンプにハマってしまい、もともと楽器で圧迫されていた部屋がキャンプギアでさらに狭くなっていく今日この頃。不要なものを整理しないとですね。今は愛着が無くても、思い出のあるものを捨てるのが苦手です。だからだよってやつですね。精進します。
余談はここまでにして、前回の奏法のお話、楽しんでいただけましたでしょうか?
今回は音楽とかな~り密接に関係する”Hz(ヘルツ)”についてお話していきますよ~。
まず、ヘルツとはドイツの物理学者ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツの名にちなんだ周波数及び振動数の単位です。
1Hz=1周波・振動
で表され、1930年に国際電気標準会議で制定、1960年に国際度量衡総会で採用されました。
電磁波や電波、最近ではPCのCPUクロック周波数でも見かけますね。
ちなみにそれ以前の周波及び振動数をサイクル毎秒(c/sまたはcps)としていました。
さて、音楽においてHzが何を表すのかといいますと
ズバリ”音”です。
音というのは空気の振動、楽器においても弦や膜、スピーカーの振動によって発音していますね。
分からないという方は水の波を想像してください。目に見えませんが、空気中の周期的な波が音として私たちの耳で聞いているものの正体です。
エレキギターなどでも弦の振動を電気信号(±に振れる交流)に変換して、スピーカーでまた物理的な振動に変換しています。そう考えるとすごいですよね。
つまり、電気式楽器のケーブルや機械の中の電気信号の状態の音においても、このHzは同じように考えることができるわけです。
一般的に人間の可聴域とされているのは20Hz~20kHz(1秒間に20回から20000回の空気の振動)で、個人差はありますがこれがいわゆる”音”として聴くことができる周波数です。
この中で100Hz以下を低周波と呼び、可聴域外の20Hz以下を超低周波、20kHz以上を超音波と呼びます。
さてさて!ここからが本題です。少し難しくなりますよ・・・?ついてきてくださいね!
早速少し脱線しますが、
音楽にはドレミファソラシドという音階がありますよね。
誰が決めたか、基準になる音というのは様々でございまして。
ドレミファソラシド=CDEFGABC=ハニホヘトイロハ
とそれぞれこんな感じに対応していますよ。
88鍵ピアノがA(ラ)で始まっているのをご存じでしょうか?
実は”国際標準ピッチ”というのが国際規格として定められておりまして、
88鍵ピアノで言うところの4オクターブ目のA(ラ)を440Hzとしているんです。
これは、1939年ロンドンで行われた万国規格統一協会による国際会議で”国際標準ピッチ”として決められ、後に1955年に国際標準化機構(ISO)によってISO16として定められたもの。
ではなぜA=440Hzと決める必要があったのか。
”国際標準ピッチ”が定められる以前から音楽というものはもちろん存在しております。
複数台の楽器で演奏する際に基準とするピッチが無いと、音が綺麗に混ざり合わず曲の演奏ができませんよね?
ということで、地域や時代、演奏隊規模で様々なピッチの基準が存在していたのです。
その基準は本当に様々で、A=380HzからA=500Hzくらいだったと言われています。現在の標準ピッチで言うと、F#4(ファ#4)とG4(ソ4)の間くらいからB4(シ4)とC5(ド5)ということになります。もうめっちゃフリーダム。
でもでも待ってください。
楽器ごとに出せる音の限界がありますよね?
管楽器は構造的にも演奏技術的にも限界はありますし、弦や膜もあまりに低いと上手く振動しませんし、張りすぎれば切れたり破れたりします。
時代によって楽器の大きさも少しづつ違っていたようですが、楽器それぞれの調律の限界ももちろん構造上存在します。
しかし一方で、”基準とするピッチで音楽のニュアンスが変化する”ということも事実として認識されていたのです。
「一番細い弦が切れるギリギリまでピッチを上げる」事が指示されている曲まであるんです。
現代でもギターを半音下げで演奏するミュージシャンが多くいますが、この話に置き換えて言えばA=415.305という基準ピッチにしているとも考えられるんです。(なぜこんな細かい周波数なのかは後ほど説明しますよ)
基本的にはピッチの基準を下げると落ち着いた雰囲気に、逆に上げると華やかな雰囲気になっていきます。
この辺の細かい話は終わらなくなってしまうので、気になる方は「国際標準ピッチ」とかで調べてみてください。
ざっくりまとめると、
現代では世界中が容易に移動し、関わりを持つようになりましたから、音楽家同士の交流がしやすいように(あと楽器に無駄な負荷がかからないように)と決めてくれたのが”国際標準ピッチ”というわけです。
まだ続きますよ笑
さてと、基準ピッチが決まりましたが、A=440に対してABCDEFGABC…と区切らないといけませんよね?
これを”音律”と呼ぶんですが、これにはいくつか種類があるんです…
まず前提として、オクターブの関係というのは周波数比2:1で表される音になります。これは絶対です。
分かりやすく言うと、A4=440に対してA3=220、A5=880ということ。
ギターの指板を見ると分かりやすいですが、12フレット(1オクターブ上)が、ちょうどナットからブリッジサドルの間にあるはずです。
A A# B C C# D D# E F F# G G#
と、「12個の音階があるんだから12等分しちゃえばいいんじゃないの?」
と思うじゃないですか。
それももちろん正解です。でもそれだけじゃないんです。
12音階を12等分した音律を”12平均律”と呼びますが、不思議なことに、この12平均律では「純正音が得られない」のです。
純正音とは、2つの音を鳴らしたときに”うなり”を発生しない音のことで、これは周波数が整数比になっていることを示します。
数学が得意な方はお気づきかもしれませんが、単純に12音階を12等分しようとすると、オクターブとユニゾン(同じ音高)以外の音が整数比で示すことができないんですね。
現代のポピュラー音楽においてはそこまで気にされることはないですが、本来音楽においてこの純正でないうなりを伴った音というのは美しくないものとされてきました。
なので、いろいろな人が工夫をして「どうしたら美しい音律になるか」を一生懸命考えました。
その結果、音律が複数存在しているんですね。
ピタゴラス音律や純正音律、中全音律が代表的なものになるでしょうか。
それぞれ特徴はありますが、総じて特定の和音に対し純正音を得られる代わりに、極端に響きが悪くなる音階を持っていたり、それによって転調や移調が困難であること。ピタゴラス音律にいたっては12平均律では異名同音となるはずのA♭とG#が違う音階になってしまうなど、現代のように様々な人が様々な音楽を演奏する時代には致命的な短所が多くあるのです。
それぞれの原理や長所短所が気になる方は調べてみてくださいね!(数学が苦手な方はさっぱりかもしれませんが…)
古来の日本ではピタゴラス音律を使用していたり、世界には5平均律の音楽に親しむ地域もあったり。由緒ある民族音楽では独自の音律を持つ場合も多いです。
そんなわけでもうお分かりの通り、現代において一般的に親しまれる音楽では”A=440の12平均律”を用いることが定型となったのです。
ちなみに、ギター等フレットを設けた楽器のフレットがまっすぐなのは平均律だから。
純正律を用いる場合はフレットはぐにゃぐにゃ曲がったものになってしまいます。
ふぅ…終わりが無いので今回はそろそろ、これくらいにしておきましょうか…笑
皆さんお手持ちのチューナーも、A=440で設定されていますが、大半のチューナーには基準ピッチの調整機能が付いています。
試しにいつも演奏している曲を違う基準ピッチで試してみても面白いかもしれないですね。
私は自分の楽器は基本的にA=442Hzでチューニングすることがおおいです。
そんなわけで!深い深~い関係があるHzと音楽についてちょこっとだけお話してみました。
これについて知りたい!みたいな事がありましたら、教えてください。テーマを考えるのもなかなか一人では続かないかもしれないので…
次回は、分かると楽しい”ギターのコードフォーム”を予定していますよ!作曲してみたいな~って方は要チェックかも…!
YouTube
Jacob Collier - Tiny Desk (Home) Concert
常に全てが調和していて心地よさが途切れることが無い感じ、分かりますかね…?ピッチや音律、微分音やグルーヴに至るまで、独自の理論を持ちながら様々な楽器を操るマルチプレイヤー。そして歌までうまい。感覚的に捉えているのではなく、ジャズ理論を軸に近代音楽的解釈と現代音楽的解釈どちらも肯定するようなJacob独自の音楽への解釈は、もしかしたらこれからのポピュラーミュージックを変える引き金になっていくんじゃないかなと、秘かに思っています。
それでは~!!!
0 件のコメント:
コメントを投稿