2020年10月30日金曜日

店長小川の音楽うんちくリターンズ ~いろいろな奏法~

 どーも!店長の小川です。


今回は前回予告した奏法についていろいろお話していきますね。


まず、世界には多種多様の楽器があり、その発音方法も様々です。

長くなりますが、奏法について考える際に深く関係してくるので、まずはその分類を整理していきましょう。

  • 管楽器(楽器分類学上では気鳴楽器)

金管楽器…トランペットやトロンボーンなど、唇の振動を用いて発音する楽器。誤解しやすいですが、金属によって作られているかどうかは関係がなく、例えばデジュリドゥもこの金管楽器だったりする。

木管楽器…こちらも木で作られているかどうかに関わらず、上記の金管楽器に当てはまらない管楽器を指します。サックス、クラリネット、オーボエ等のようにリードを用いるものもあれば、リコーダーやフルートのようにリードを用いないものもありますね。

  • 弦楽器(楽器分類学上では弦鳴楽器)

撥弦楽器…指や爪、またはそれに代わるもので弦をはじいて発音する楽器。ギターなどリュート属の楽器や、三味線、琴なんかもこれ。

擦弦楽器…弓などを用いて弦をこすって発音する楽器。ヴァイオリン属の楽器や、珍しいものだとハーディガーディという回転するドラムで弦を擦るものもあります。

打弦楽器…ハンマーや棒を使って弦を打って鳴らす楽器。ピンと来ないかもしれませんが、ピアノは打弦楽器に当てはまります。ほかにもダルシマー、ビリンバウなどがこれに当てはまります。

  • 打楽器(楽器分類学上では体鳴楽器または膜鳴楽器)※慣用的分類では下位分類がないので楽器分類学上の分類を用います。

体鳴楽器…金属や木、骨などでできた楽器そのものを叩いたり、振ったりする事で発音する楽器。拍子木やカホン、シンバル、トライアングル。マラカスやアサラト、ビブラスラップ。木琴などのように明確に音階を持つものも含まれます。

膜鳴楽器…動物の皮や樹脂製の膜を張って主にその膜を叩くことで発音する楽器。ドラム類や、タンバリン属のようなフレームドラム類、ボンゴやジャンベなどがこれに当てはまります。

と、旧来の慣用的分類楽器分類学を並行して列記しました。慣用的分類ではあと鍵盤楽器、電気楽器、電子楽器、声が、楽器分類学では電鳴楽器がありますが、電子楽器(シンセサイザーとか完全に電気信号のみを用いた楽器)を除いてすべて発音の根本的な原理で言うと先述のいずれかに当てはまりますので、気になる方は自主的に調べてください。

エレキギター、エレキベース、電子ピアノなどアンプを用いてスピーカーから発音する楽器は電気楽器、電鳴楽器の分類になりますが今回はそれは無視して各楽器の根本的な演奏方法を軸に見ていきますのであしからず。


すでに内容がだいぶコッテリしてきましたが、大丈夫ですか?笑

続けます。

先述の3つの大きな分類で括ると、特に弦楽器と打楽器で顕著なんですが”主な演奏方法以外の方法で演奏が可能である”ことが多く、例えばヴァイオリン属の楽器ではピチカート奏法といって指で弦を弾く奏法も一般的に行われます。

ということは、”構造上無理がなければ本来の演奏方法とは違っても叩いたり擦ったり振ったりしてもいい”わけですね。

例えばベースのスラップ奏法は打弦楽器的ですし、アコースティックギターのボディヒットは体鳴楽器的であり、本来の楽器分類上の演奏とは異なる演奏方法なわけです。

ドラムセットで言っても、スネアドラムをひっくり返してスナッピーを擦ってジャリジャリしてみたり、スナッピーを緩めてスネアドラムを振ればジャラッジャラッと。太鼓類のヘッドやシンバルを摩擦の強いゴムマレットなどで擦ってブウィーンとしてみたり。スタンドを叩いてキンキンと鳴らすのもありですね(the OffspringのCome out and playのイントロがこれ)

ギターをヴァイオリンやチェロの弓で擦って演奏するボウイング奏法も実は歴史は古く、1966年頃にthe CreationのEddie PhillipsLed ZeppelinのJimmy Pageが用いて以降、特にSigur RósのJónsi Birgissonが積極的に用いるようになってからは広く用いられる奏法にもなりました。Dragon AshのSummer TribeのMVでも使っていますね。

グランドピアノの共鳴室に手を入れて指で直接弦を弾く、ハープを弓で弾くなど、特に弦楽器においてはその構造上弦に対してはじく、叩く、擦るというのは基本的に流用しやすいのでしょうね。とりわけ弓による摩擦は擦る対象がある程度振動しやすいもの、形状であればならせることが多く、シンバルも鳴らせます。


さて、世界にはクリエイティブなミュージシャンは沢山いまして、主にエレキギター/ベースやドラムにおいてここまでお話しした”音楽的な範疇での特殊奏法とは別な特殊奏法”を見ていこうと思います。

  • Tom Morello
    ワウペダルやワーミーペダル、ディレイなどのエフェクターを駆使して独創的なサウンドを多数生み出した”エレキギター界きっての特殊奏法の宝庫”。トグルスイッチを操作しながら弦を擦るスクラッチ奏法は有名ですが、六角レンチを使ったりギターからシールドを引き抜いて手に押し当てたりなど、ちょっとクレイジーな奏法まで。動画でそのいくつかが惜しみなく披露されておりますので、ぜひご覧いただきたい。安易に真似してはいけないワイルドな奏法がありますので、試す際は自己責任の上、充分にお気を付けください。

  • Herman Li

Dragon Forceのハーマン・リも独創的な奏法で評価の高いギタリストです。日本のクラシックゲームの大ファンである彼はパックマンのゲームで流れる音をギターで再現してしまったり、象のパオーンという鳴き声エンジン音もお手の物。この動画内では見られませんが、Night RangerのBrad Gillisが多用することでも知られるクリケット奏法(トレモロアームをはじくようにしてコオロギの鳴き声のような音を出す)を使用することも多いですね。あとギターを太腿で蹴り上げるようにして轟音を出したりもします。こちらも安易に真似してはいけないワイルドな奏法がありますので、試す際は自己責任の上、充分にお気を付けください。


  • Steve Moore

ここまで何だかんだ言っておいて、これを特殊奏法というべきかとても悩みましたが一応紹介しますね。見た目が派手になるだけでサウンドに一切影響しない謎すぎる奏法を数多く生み出しているThe Mad Drummer。わけが分かりませんが、視覚的に人を引き付ける効果を狙うのも演奏技術の一つとして考えるべきかもしれないですね。こちらは特に危険を伴うことはなさそうですが、そもそもどうなっているか分かりません。むしろやり方知ってたら教えてください。

 ・Paul Gilbert & Billy Sheehan

あまりにも有名な電動ドリル奏法も特殊奏法の一つと言えるでしょう。Mr.BIGがこの奏法で使用するドリルは愛知県安城市が世界に誇るマキタの電動ドリル!いつの時代も早ければ早いほどカッコいいんです。


と、キリがないのでここまでにしておきましょうかね!


ダラダラと書き綴りましたが、結局何が言いたいかと言いますと、

音楽は自由な発想で無限に面白くなるよ!

ということです。練習に行き詰まったり、暇な時間にちょっと考え方を変えて楽器に触れてみたら何か生まれるかもしれませんよ???


これからも音楽が誰にとっても楽しいものであり続けられますように!!


次回は”Hz(ヘルツ)”についてお話しようと思います。

それでは!


YouTube

Jon Gomm - Coccoon

はじく、叩く、擦る、ひっかく、回す、そして歌う。もはや曲芸のような作業量をたった一人でこなし、美しいアンサンブルを奏でる規格外のSSW。新型コロナウィルスが蔓延する以前はLike a rolling stoneなライフスタイルで各地を飛び回り制作をしながらパフォーマンスをしていましたが、今この時代が彼にとってどう感じられているのか心配していました。少々の沈黙を破り、最近新しいアルバムをリリースしました。情熱的な演奏から紡ぎだされる膨大なアンサンブルは繊細で幻想的。The Faintest Idea、ぜひご一聴頂きたいアルバムです。

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